脊椎疾患

Spine Disease

脊椎疾患について

整形外科 脊椎チーム

診療医員  梶原 隆義

 

第三病院で脊椎疾患の治療を担当している梶原隆義と申します。
“患者さん一人一人に寄り添ったテーラーメイドな脊椎治療”をモットーに日々、診療に精進しています。脊椎疾患は頭蓋骨から骨盤までを網羅するため分野も広く、症状も多彩です。また、同じ疾患であっても一人一人違った症状を出すため、何がその人にとって一番大切なのかを常に一番に考え、可能な限り安全で侵襲の少ない手術を提供したいと思っております。
何かお困りなことがありましたらいつでも気軽にご相談ください。

脊椎について

背骨は頸椎・胸椎・腰椎までの24個の骨で構成されており、頭蓋骨・骨盤との連結や体幹の支持などの役割があります。
また、脊椎の中(脊柱管)には神経が走行しており、上肢や下肢の運動や感覚にも大きく寄与しています。そのため、一度、障害を受けると腰痛や背部痛のみならず、上肢や下肢の痛みやしびれ・麻痺など様々な症状を出します。また、神経が障害されることによる痛みやしびれ(神経障害性疼痛)は生活に大きな支障を与えることが多く、時に精神面にまで悪影響を与えることがあります。

当科での治療について

脊椎由来の神経症状は多彩で、同じ疾患でも患者さん一人一人で違った症状を出します。そのため、当科ではそれぞれの患者さんに合わせてテーラメイドな脊椎治療を行うことを心がけています。
手術が必要ない方には投薬やブロック注射を行います。手術が必要な方には、何が一番辛い症状で、何を治すことが最良であるのかを一番に考え治療をしています。腰椎圧迫骨折と診断された方でも骨折の骨癒合が得られていないための痛みなのか、骨折を起こしたことによる脊椎のバランス障害ための痛みなのかを明確にし、その患者さんにとって最適な治療方法を提供できるようにしています。
当科では、脊椎手術の中で近年進んでいる低侵襲化(最小侵襲脊椎治療:MIST)に取り組んでいます。手術の低侵襲化により、手術が必要であっても年齢や持病などの問題から手術はできないと言われていた多くの方々に安全に手術を行うことが可能となりました。また、癌の脊椎転移や外傷(脊椎の圧迫骨折など)にもその適応が拡大されており、症状が軽くても将来的な症状の出現・進行が懸念される方にも積極的に手術治療を提供することができています。

当科で診療している脊椎疾患

脊椎の手術について

脊椎の手術は、脊椎にかかっている圧を軽減する「神経除圧術」と応じて歪んでしまった背骨を安定させる「脊椎固定術」に大別されます。手術方法は、症状や変性の程度や合併症などによって選択します。

神経除圧術とは

神経除圧術は、神経の圧迫を取り除くための手術です。神経の圧迫が原因で上下肢のしびれなどの神経症状を有する方にはほぼ全ての患者さんに適応となり、脊椎手術では最も一般的な手術方法です。

頚椎・胸椎・腰椎で減圧の方法は多少異なりますが、原則、後方より骨や変性した靱帯を切除することで神経の圧迫を取り除きます。

当院における脊椎除圧術の特徴

神経減圧術は、最も古くから実施されている手術方法です。
当院でも従来法に則り、皮膚切開は1つの椎間あたり約4cmで直接術野を確認しながら手術を行います。手術時間は短時間(1つの椎間あたり1時間程度)で行うことができ出血量も少ないため、身体への負担が少ない手術です。手術翌日から歩くことができるため、手術後の行動制限も少なく済みます。
また頚椎の減圧術(椎弓形成術)では、チタン製のインプラントを積極的に用いることで、術後早期から脊椎の安定性が得られる手術成績が得られています。

脊椎除圧術のメリット

  • 日常生活の活動性が向上し、活動範囲が広がる。
  • 今までできなかった身体を動かして行う趣味やスポーツ運動に積極的に取り組む事ができる。

脊椎除圧術のデメリット

  • 罹病期間が長い方や圧迫が高度な方の場合、一定確率で神経症状が期待以上に改善しない場合がある。
  • 手術をする事で出現する腰部の筋肉痛や創部の痛みなどの合併症のリスクがある。

手術後から退院の流れ

術翌日〜
車椅子乗車
術後2日〜
補助器具を使用した歩行訓練・補助具なしの歩行訓練
術後1週ほど〜
日常生活が問題なく送れるレベルまで回復
術後2週ほど〜
退院
※術後3か月程度はダーメンコルセットの装着が必要です。

脊椎固定術(インプラントを用いた脊椎手術)とは

脊椎手術では、神経減圧術に加えてインプラントを用いて固定術を追加する手術があります。近年では、インプラントの耐久性や安全性が向上したため積極的に脊椎固定術を施行することで、良好な手術成績が得られています。

脊椎固定術(インプラントを用いた脊椎手術)とは

脊椎固定術は、大きく分けて3つの術式で治療を行っています。

①腰椎後方椎体間固定術

成人の腰椎の神経障害の中で、脊椎の不安定性がある(腰椎分離・変性すべり症)場合に選択します。
神経減圧術を施行した後に、変性した椎間板を取り除いて自家骨と人工骨を挿入します。さらに椎体同士をスクリューとロッドで固定します。手術の低侵襲化を図るため、スクリューは全て経皮的にな動作で行っているため、透視装置を併用することで、組織損傷を最小限に留めています。そのことにより、手術時間・出血量が減少し術後の離床も早期に行うことができます。

②後方固定術

後方固定術は、椎体にスクリューを挿入し安定化させる手術です。
適応となる疾患は、脊椎圧迫骨折(頚椎・胸椎・腰椎)・癌の脊椎転移・成人脊柱変形など様々にあります。神経の圧迫の程度により減圧術を併用することもあります。
この術式は全て経皮的な操作で挿入するため、極めて体への負担が少なく術後1週ほどで退院ができます。

③経皮的椎体形成術
(BKP:Balloon Kyphoplasty)

腰椎圧迫骨折や癌の脊椎転移に行われる手術で、約1cmの皮膚切開で施行可能です。骨折や癌の転移によって破壊された椎体へセメントを注入することで疼痛の軽減をはかります。従来では、脊椎の骨折の多くは保存的に治療されてきましたが、BKPなどの手術が行われることが増加したことにより、近年では積極的な手術を行なうことで良好な治療成績が得られています。

当院における脊椎固定術の特徴

当科では、脊椎手術の低侵襲化を図るためスクリューは全て経皮的に挿入しています。また、テーラーメイドに治療を提供するため患者さん一人一人の病態を詳細に評価し、手術の適応・インプラントの必要性・固定の範囲など詳細に検討をしています。

脊椎固定術のメリット

  • インプラントを用いて早期に安定化させることで、術後早期に痛みやしびれが改善する。
  • 神経症状の改善により、日常生活の行動範囲が広がる。
  • 今まで諦めていた趣味や運動に積極的に取り組める。

脊椎固定術のデメリット

  • 罹病期間が長い方や圧迫が高度な方の場合、一定確率で神経症状が思うように改善しない方がいる。
  • インプラント挿入することに腰痛(背中に鉄板が入っている感じなど)を訴えたり、脊椎の可動性が低下することがある。

手術後から退院の流れ

術翌日/術後2日〜
補助器具を使用した歩行訓練・補助具なしの歩行訓練
術後1週ほど〜
日常生活が問題なく送れるレベルまで回復
術後2週ほど〜
退院
※術後6か月程度は、コルセットの装着が必要です。
(硬性コルセットを3か月・ダーメンコルセットを3か月)

入院後の生活について 各部門としっかりと連携して安心な入院生活を支援いたします。

脊椎固定術のメリット

  • 日常生活の活動性が向上し、活動範囲が広がる。
  • 今までできなかった身体を動かして行う趣味やスポーツ運動に積極的に取り組む事ができる。

脊椎固定術のデメリット

  • 罹病期間が長い方や圧迫が高度な方の場合、一定確率で神経症状が期待以上に改善しない場合がある。
  • 手術をする事で出現する腰部の筋肉痛や創部の痛みなどの合併症のリスクがある。

手術後から退院の流れ

術翌日/術後2日〜
補助器具を使用した歩行訓練・補助具なしの歩行訓練
術後1週ほど〜
日常生活が問題なく送れるレベルまで回復
術後2週ほど〜
退院
※術後6か月程度は、コルセットの装着が必要です。
(硬性コルセットを3か月・ダーメンコルセットを3か月)

入院後の生活について 各部門としっかりと連携して安心な入院生活を支援いたします。

よくある質問

  • 脊椎の固定術を受けた後に日常生活で気をつけることは何ですか?

    固定椎間数や骨の状態によって変わり、基本的に大きな制限はありませんが、体幹の過剰な運動は避けていただくことがあります(特に体幹の前屈や回旋動作)。また、落ちたのもと拾う・足の爪を切るなどは多少の制限が出ることがあります。

  • 術後、車・自転車の運転・公共交通機関の利用などはすぐできますか?

    手術が問題なく終了していれば、早期に車・自転車の運転・公共交通機関の利用は可能です。術後の痛みや麻痺の有無などによって多少、許可が遅れることもあります。

  • 周りの方で、脊椎の手術を受けてもあまり症状が改善しない方がいるため手術に抵抗を感じています。

    デメリットで記載した通り、神経症状の回復の程度は個人差があります。そのため、思うように手術効果が得られないこともありますが、そういった時でも丁寧に術後の経過を見ていくことで症状が緩和されることも多く、手術前に比べれば大分良くなっているという方もいます。手術に悩んでいる時は、まずは外来で相談をすることが大切です。当科では、現在の状態を正確に評価し、どのような治療を行っていくか患者さんと一緒に決定しています。

費用について

当科の治療に必要な費用は、高額療養費制度が適応されます。
※高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

詳しくは厚生労働省webサイトをご覧ください。

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    京王バス つつじヶ丘駅南口行 慈恵医大第三病院前下車

    小田急バス 成城学園前駅西口・渋谷駅・二子玉川駅・
    狛江駅北口行 慈恵医大第三病院前下車

  • 京王線 国領駅

    国領駅から約4分

    小田急バス 狛江駅北口・狛江営業所行
    慈恵医大第三病院前下車

小田急線

狛江駅北口より約10分

  • 小田急バス 武蔵境駅南口・調布駅南口行
    慈恵医大第三病院前 下車

    京王バス 調布駅南口行 慈恵医大第三病院前 下車

  • 小田急バス 慈恵医大第三病院行 終点 下車

    京王バス 調布車庫前行 慈恵医大第三病院前下車